病理一口メモ (学生や研修医に役立つ病理の知識,日常の病理診断に役立つ知識などを提供)

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・脳をホルマリン固定する場合,固定液は脳表面から深部に浸み込んでいくため,脳の中央部(大脳であれば基底核や白質,小脳であれば深部の顆粒層や白質)では固定不良に伴う死後変化がみられることが多い.夏の温度が高いとき,剖検までの死後時間が長いとき,感染などで高熱を伴って死亡した症例などではその変化が顕著で,とくにガス産生菌が繁殖した場合にはスイスチーズ様の外観を呈することがある.
・脳でみられるスイスチーズ様の変化は,脳をホルマリンで固定する前に嫌気性のガス産生菌が繁殖し,大小の境界明瞭な囊胞が形成されたもので,スイスチーズ脳(Swiss cheese brain)と呼ばれることもある(Hirano A: Color Atlas of Pathology of the Nervous System, P34).
・剖検時の脳の観察においては,このスイスチーズ様の変化を知っておく必要があるが,脳以外でも比較的大きな実質臓器でみられることがあり,肝臓でみられる場合(とくに法医学領域)には“泡沫肝”と呼ばれる.
・ガス産生菌の場合生体反応が少ないことがあり,それが生前のものか,死後のものかを判定するには画像を含む病歴を加味した検討も必要である.(by 清水道生)


Posted by 病理診断科