病理一口メモ (学生や研修医に役立つ病理の知識,日常の病理診断に役立つ知識などを提供)

 明細胞性脳腫瘍とはHE染色で明るく抜けた細胞質を有する腫瘍細胞から成る腫瘍の総称,すなわち,”Clear Cells”或いは”Fried Egg”と呼ばれる組織学的形態・パターンを取る脳腫瘍で,以下のようなものがある.
①乏突起膠腫:中年成人の前頭葉に好発.免疫組織化学的にOlig2強陽性でEMAは陰性.
②明細胞上衣腫:若年層のテント上に好発. GFAP陽性,EMAがドットないしリング状陽性,明瞭なOlig2陽性所見はない.WHO grade II ~ III.
③中枢性神経細胞腫:側脳室モンロー孔周囲に発生.神経細胞系マーカー(synaptophysin, NeuN)が陽性.
④血管芽腫:成人の小脳,脊髄に多い腫瘍.血管の間に存在するstromal cellが腫瘍細胞で,vimentin陽性,EMA陰性,GFAP陰性.
⑤明細胞髄膜腫:細胞質にグリコーゲンを豊富に含み,明細胞形態を示す.WHO grade II.(by 佐々木惇)


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  • 腫瘍細胞が腹水中に出現した場合,基本的には癌性腹膜炎を意味するが,卵巣腫瘍においては幅広い柔軟な解釈が必要とされる.すなわち,腫瘍が悪性とは限らず境界悪性のこともあり,とくに漿液性で表在発育が優位な腫瘍ではかなり大量の腫瘍細胞が腹水中で捉えられる.また,卵巣腫瘍の多くは種々の程度に嚢胞性領域が存在するため,何らかの原因で自然破綻を来した場合,内容液が漏れ出て腹水が陽性となる.この現象も腫瘍の良悪性とは強く相関しない.しかしながら,細胞診では腹水陽性細胞の質的診断が困難なために,境界悪性腫瘍であっても多くがclass V=悪性と評価されることに留意されたい.(by安田政実)

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  • 細胞質の好酸性顆粒状変化(電子顕微鏡では多数のミトコンドリア)を指し,腺管内腔への細胞質の小さな突出が皮膚のアポクリン腺と類似の形態を示すため,アポクリン化生と呼ばれている.
  • 細胞形態は円柱状で,核は小型で基底膜側に偏在しているが,核小体はしばしばかなり大型化する.
  • 種々の乳腺疾患に合併して観察され,hyperplasia,adenosis,papillomaなどの良性疾患のほか,癌細胞にもしばしば認められる.
  • 剖検症例における出現率は,20~85%と閉経前出現率はかなり高いが,20歳未満での出現はないとされている.
  • アポクリン化生自体が発癌の危険因子とは考えられていない.
  • 免疫組織化学ではER,PgR,bcl-2が陽性であり,良性でもしばしばHER2蛋白を発現している.(by 桜井孝規)

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  • 転移性脳腫瘍の頻度は脳腫瘍の15%前後といわれ,40-60歳に多い.
  • 脳に転移しやすい腫瘍としては,米国の教科書では,1)肺癌,2)乳癌,3)悪性黒色腫の3つが必ず記載されており,原発巣としては,肺,乳腺,皮膚の順となる.
  • 一方,日本では悪性黒色腫の頻度は少なく,肺,乳腺,消化管,皮膚,腎の順となっている.また,肉腫の転移はまれである.
  • 肉眼的には多発性のものが多いが,1/3~1/4の症例では単発である.
  • 臨床的には経過が速く,3~6ヵ月で死亡することが多い.(by 清水道生)

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  • レビー小体:パーキンソン病では100%の症例にみられ,中脳の黒質や橋の青斑核が好発部位である.リン酸化αシヌクレインが主たる構成蛋白で,パーキンソン病のレビー小体は脳幹型レビー小体とも呼ばれ,レビー小体型認知症の大脳に出現する皮質型レビー小体と区別される.
  • ブニナ小体:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の脊髄前角細胞内にみられる1~2ミクロンのエオジン好性顆粒状構造で,ALSに特異的構造物である.
  • ユビキチン陽性封入体:認知症を伴うALS,前頭側頭葉変性症などの運動ニューロン,大脳皮質の神経細胞内に認められる封入体で,免疫組織化学的にユビキチン抗体陽性である.近年,核蛋白である43-kDa TAR DNA結合蛋白(TDP-43)がユビキチン化蛋白の本体であることが解明された.
  • グリア細胞質内封入体:多系統萎縮症(オリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,Shy-Drager症候群)で,脳幹・小脳・基底核の乏突起膠細胞の細胞質内に認められる.ボディアン染色陽性で,免疫染色ではαシヌクレイン陽性,タウ陰性である.
  • ポリグルタミン陽性核内封入体:ハンチントン病,Machado-Joseph病などのポリグルタミン病で,神経細胞の核内,一部胞体内に認められる.
  • ピック小体(ピック嗜銀球):ピック病で,海馬などでみられる神経細胞質内封入体でH-E染色では好塩基性を示す.構成蛋白は3リピートのタウ蛋白である.(by 佐々木 惇)

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