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20. 粘着フィルムを用いた術中迅速診断凍結切片作製法
12.01.19
・脂肪組織が含まれる検体の凍結切片作製では良好な標本作製が困難であり,作製者の熟練が必要である.
・近年,川本によりタングステンナイフ等の特殊な器材と粘着力を有する粘着フィルムを切片支持材として未固定の非脱灰凍結試料から硬組織凍結切片を作製する方法が報告されている(実験病理組織技術研究会誌2002;11:1-18 病理技術 2009;72巻2号:76-83).
・川本法は,硬組織標本作製のために考案されたが,脂肪組織が多く含まれる乳腺などの,術中迅速診断時に使用されるようになり,初心者でも良好な標本が作製可能である.
・従来法と異なる点は,凍結ブロックの面出し作業後に粘着フィルムを貼付して薄切,その後も薄切組織の接着したフィルムを染色,標本作製を行う方法で,一部専用試薬を必要とするが,粘着フィルムは販売されており,特に標本作製に苦慮している施設には,朗報となっている.(by 金 玲)
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19.バーチャルスライドによる病理組織実習
11.12.01
・バーチャルスライド(VS)は,スライドセミナー,コンサルテーション,遠隔病理診断などを通じて,この数年で病理医にもお馴染みのツールとなった.VSの有効利用法の一つは卒前病理組織実習である.近年,各大学の病理学教室がVSを使用した実習を行うようになり,その内容がインターネットを介して公表され,一部の大学では,パスワード不要で画像をみることも可能となった.
・埼玉医科大学でも昨年の病理実習の一部でVSを使用し,好評であったこともあり,本年度からは病理組織実習の全てをVSとし,従来の顕微鏡実習を止めることとした.一部の大学では二人で1台のPCを使用するようであるが,我々の大学では学生一人が1台のPCを使用し,各人にスケッチをさせている.当初,PCの操作に慣れるのに時間がかかるかと危惧したが,ほとんど問題はなかった.
・学生にとっての利点としては,顕微鏡酔いがないこと,全員が同一の画像を観察していることが大きいと思われる.実習を担当する病理学教室としては,ガラス標本の紛失や破損がなく,標本の褪色への対応から解放された点は大きなメリットである.ただし,病理総論実習では,ミクロとともに重要なマクロ実習をどのように取り入れるかが問題点として残る.今後は,高倍率による微細構造観察が不充分な点を改良し,病理VSライブラリーのコンテンツを増やして行く予定である.(by 佐々木 惇)
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18.細胞質内脂肪滴マーカー
11.10.14
・脂肪滴(lipid droplets)は中性脂肪がリン脂質一重膜によって覆われた細胞小器官である.脂肪の蓄積・分解は脂肪滴膜タンパクであるPATファミリー(perilipin・adipophilin・TIP47)が制御している.
・脂腺癌では,細胞質内の脂肪滴の存在が診断に有用であり,凍結切片でのOil Red O染色やSudan IV染色などが脂肪滴を確認するのに使われてきた.
・近年,ホルマリン固定後パラフィン切片での脂肪滴の抗体として,PATファミリーであるadipophilin・perilipin・TIP47が登場した.中でも,adipophilinとperilipinは脂腺癌での脂肪滴の認識に有用であると報告されている(J Clin Pathol 2006; 59: 1166-1170).
・Adipophilinは,乳腺上皮・副腎皮質・セルトリ細胞・ライディッヒ細胞に認められ,アルコール性肝硬変や脂肪肉腫でも存在が報告されている.Perilipinは,白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞両者での発現が認められている.
・Adipophilinに関しては,脂肪滴の膜陽性パターンが重要とされ,顆粒状の弱陽性パターンは非特異的反応の場合があり,注意を要する.また,黄色腫病変や転移性腎癌でも細胞質内の脂肪滴膜陽性パターンを呈する場合があり,脂腺系腫瘍との鑑別にはあまり有用でないと報告されている(Mod Pathol 2010; 23: 567-573).(by 上原慶一郎)
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17.Histone codeとpathology
11.09.06
核内でDNAはヒストンと結合して存在している.2000年代に入り,このヒストンに様々な修飾が加わることにより,クロマチンの構造や機能が調節されていることが明らかになってきた.複数のヒストン修飾の組み合わせがそれぞれ特異的な機能を引き出すというヒストンコード仮説が提唱され,種々の抗体が開発され,病理診断に応用する試みがなされている.その一つが,ヒストンH3の10番目セリン(H3S10)のリン酸化を認識する抗体(pHH3,ser10)である.H3S10のリン酸化は細胞周期のlate G2から始まり,metaphaseで最大になり,anaphaseまで続くことがわかっており,この性質を利用して,増殖活性が測定される.これまでmeningiomaやmelanomaなどのmitosisの数が診断に影響を与える腫瘍で,その有用性が報告されている(Brain Tumor Pathol 2009;26:51-57, Am J Dermatopahol 2010;32:650-654など).実際に試してみると,同じ腫瘍でKi67抗体(mitoticな時期に限らず,細胞周期が回っている細胞はすべて陽性となるとされている)よりもpHH3,ser10抗体の方が多くの細胞で陽性になることもあり,注意が必要であるが,今後はこれらの抗体の病理学的応用が期待される.(by 市村隆也)
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16. 新しい腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約について
11.07.15
・2011年に,膀胱癌取扱い規約(第3版)と腎盂・尿管癌取扱い規約(第2版)が合併・改訂され,新しく,腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約(第1版)となった.
・注意すべき病理学的事項は以下の点である.
1) 肉眼分類:非乳頭状を結節型へ用語が変更され,混合型と分類不能型が加えられた.
2) 組織分類:①移行上皮という用語は廃され,尿路上皮に統一された.②非浸潤性尿路上皮腫瘍は平坦状と乳頭状に大別された.③異形成は低異型度非浸潤性平坦状尿路上皮腫瘍と定義された.④尿路上皮癌が,扁平上皮癌あるいは腺癌が共存する場合には尿路上皮癌を主診断に,小細胞癌が共存する場合には小細胞癌を主診断とすることとなった.⑤WHO分類における低悪性度乳頭状尿路上皮腫瘍は低異型度非浸潤性乳頭状尿路上皮癌に包括された.
3) 異型度分類:尿路上皮癌の異型度分類は低異型度と高異型度の2段階となった.
4) その他:脈管侵襲の評価に,lymphovascular invasion (LVI)が追加された.
(by 村田晋一)
Posted by 病理診断科
