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9. 乳癌の分化度とcancer stem cell content
10.08.23
Biological and Molecular Heterogeneity Breast Cancers Correlates with Their Cancer Stem Cell Content (Cell 140, 62-73, January 8, 2010)
・癌を構成する細胞の中には癌幹細胞(cancer stem cell)と呼ばれる細胞が存在し,これが通常の癌細胞を供給しながら増殖している,という概念が近年提唱されている.癌幹細胞は,増殖は遅いが無限に分裂し,通常の癌細胞は増殖が早いが有限回の分裂しかしない,と考えられている.このため,癌治療のためには癌幹細胞を標的にする必要があり,各方面での研究が進んでいる.癌幹細胞のマーカーとなる遺伝子についても種々の報告がみられるが,組織型との関係を論じた論文はまだ少ない.
・この論文において、著者らはmammosphere cultureと特殊な染色剤を組み合わせて,高精度に正常乳腺の幹細胞を分離し,乳腺の幹細胞のマーカーとなる遺伝子を特定した.そして,癌組織の中にも乳腺幹細胞のマーカーを発現している細胞があり,それが癌幹細胞であることを示した.さらに,癌幹細胞の含有量がhigh gradeの乳癌で多いことを報告している.癌の分化度とcancer stem cell contentの関係を明瞭に示した重要な報告で,乳癌の診断の際にも利用できる可能性があり,今後の追試および臨床的な応用が期待される.(by 市村隆也)
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- National Cancer Institute (NCI) が2007年(Bethesda)に,甲状腺の細胞診断におけるTerminologyとMorphologic Criteriaを定義し,コロイド量,細胞異型,細胞密度・重積性および濾胞構造などの所見に基づき,計6つのカテゴリーに分類した (表).
- 実際の診断ではAtypia of Undetermined Significance or Follicular Lesion of Undetermined SignificanceおよびFollicular Neoplasm or Suspicious for a Follicular Neoplasmの判断に苦慮すると思われる.(by 村田晋一)(The Bethesda System For Reporting Thyroid Cytopathology. Ali Syed Z. SPRINGER. 2009)
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Posted by 病理診断科
Gastric adenocarcinoma of fundic gland type (chief cell predominant type): proposal for a new entity of gastric adenocarcinoma (Am J Surg Pathol 2010;34:609-619)
- これまで主細胞への分化(pepsinogen-I陽性)を示す胃腺癌の報告は1例のみであったが,最近,UeyamaとYaoらが10症例をまとめてAm J Surg Pathol 34:609-619, 2010に発表した.臨床病理学的な特徴は,胃の上部(U領域)の萎縮や腸上皮化生に乏しい胃底腺粘膜に発生し,小さいながらもSMへ浸潤するが,生物学的悪性度が低く(脈管浸襲陰性,低いKi-67標識率,p53陰性),予後良好という点である.胃癌における既存の概念のいずれとも異なるため,gastric adenocarcinoma of fundic gland type (GA-FG) (chief cell predominant type)という名称で新しい胃癌の組織型として提唱している.
- 彼らの報告ではごく早期の病変のみであり,その発育進展様式の解明や予後などの臨床事項のさらなる検討および胃底腺型胃癌の亜型であるparietal cell carcinomaやmixed-chief and parietal cell typeの症例の集積や解析が今後の課題としている.
- 「胃と腸」の2010年6月号でGA-FG27症例の追加解析が掲載予定(Personal communication)とのことである.(by 山口 浩)
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6. 「卵巣腫瘍取扱い規約」について
10.04.15
- 約20年ぶり改訂された「卵巣腫瘍取扱い規約」について紹介する.改訂が目まぐるしく行われる取扱い規約が少なくないなかで,第1版卵巣腫瘍取扱い規約は異例とも言えるほどに長期にわたってその存在価値を維持してきた.規約と言えば,通常は臨床事項に加えて,病理診断上の必須事項―組織型,分化度,脈管侵襲,断端など―を細かく規定しているのが本来の“役割”であるが,第1版は「組織診断アトラス」としての性格が全面に押し出されてきた.
- 第2版は「アトラス」としての役割を踏襲すべく,この10~20年間に新たに登場した概念や名称の変遷などをWHO2003に概ね準拠した形で盛り込んでいる.特に境界悪性腫瘍の存在は卵巣腫瘍の特徴を色濃く反映するカテゴリーであり,この点に関して最も気遣いがなされている.微小浸潤の定義を示すと同時に,この概念は基本的には漿液性腫瘍に限定されることが明確に記載されている.また,新たな項目の一つに「切除検体の取扱い」がある.ここでは肉眼所見の重要性や,切り出しのあり方,術中迅速診断時に留意すべきこと,病理報告書の記載事項などについて―主として卵巣腫瘍に対しての経験が少ない初学者の方に配慮して―必要最小限に記載されている.他に類をみない装丁が異彩を放っていた第1版に比べても内容的にもかなり成熟度が増したと思われる第2版である.(by 安田政実)
Posted by 病理診断科
5. 腫瘍関連マクロファージと古典的ホジキンリンパ腫患者の生存期間
10.03.17
Tumor-associated macrophages and survival in classic Hodgkin’s lymphoma (NEJM 2010; 362:875-885)
- ホジキン病の治療は進歩しているものの,約20%の患者は進行して死亡に至る.予後不良因子(国際予後スコア)としてstage,高齢,男性,白血球数増加,リンパ球減少,貧血があげられるが,臨床的に意義のあるバイオマーカーは確立されていない.本研究では凍結切片で得られた遺伝子プロファイリングのデータをもとに166例について免疫組織化学的にコホート解析を行った.
- 遺伝子発現プロファイリングにより,腫瘍関連マクロファージの遺伝子特性と一次治療失敗に有意な相関が認められた(P=0.02).独立したコホート研究では,病巣内マクロファージ数の増加と無増悪生存期間の短縮(P=0.03),自家造血幹細胞移植後の再発率の上昇(P=0.008)に相関が認められ,疾患特異的生存期間は短くなった(P=0.003).多変量解析でも,国際予後スコアと比較して疾患特異的生存期間と強い相関を示した(P=0.003 対 P=0.03).Stage IおよびIIa期の患者でCD68陽性細胞の増加がみられなければ,標準的治療法で長期疾患特異的生存率100%のサブグループに分類される.(by 桜井孝規)
Posted by 病理診断科
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