症例から学ぶ (典型例,稀少例など教育的な症例を中心に提供)


・Tamm-Horsfall protein (THP)はuromodulinとしても知られる糖タンパクで,1950年にIgor TammとFrank Horsfallによって初めて尿から分離された.
・髄質内のHenleの太い上行脚で産生され,通常,遠位尿細管や集合管でのみみられ、尿中に排泄される.尿中THP濃度の低下は遠位尿細管障害の指標になると考えられている.
・Hpが低くなる環境では凝集し,ゲル状となる.血漿タンパクやヘモグロビンなどとともに尿円柱を形成する.また,腎結石の基質にもなると考えられている.
・組織学的には,閉塞性腎障害(水腎症)で尿細管周囲に大小様々なTHPの沈着がみられる(Fig.1).無構造状・線維性物質で,PAS染色に陽性を示す(Fig.2).尿細管の崩壊によって近位尿細管内からBowman腔内および尿細管周囲間質にもみられる.周囲には異物型慢性炎症細胞が浸潤する.
・閉塞性腎障害では比較的多く認められるが,特異的所見ではなく,他にも急性尿細管壊死や,尿逆流や閉塞を伴った慢性腎盂腎炎でも認められることがある.(by 上原慶一郎)
参考文献
D’Agati WD, Jennette JC, Silva FG: Hydronephrosis (Obstructive nephrosis). Non-Neoplastic Kidney Diseases, Washington, DC, AFIP, 2005. p 633-642.
Serafini-Cessi F, Malagolini N, Cavallone D: Tamm-Horsfall glycoprotein: biology and clinical relevance. Am J Kidney Dis; 2003, 42:658-676.


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・Lobular carcinoma in situ(以下LCIS)は明瞭な腫瘤を形成せず,石灰化の頻度も低いため,偶発的に生検組織などで発見されることが多い.しかし,時に石灰化を示す病変があり,スクリーニングで発見されることがある.本例も,病変内に石灰化を伴う部位があったため,生検が施行された(Fig.1).
・生検組織では,石灰化および壊死を伴った腫瘍細胞が,拡張した乳管内で増殖し,細胞に接着性がみられる部位はDCISとの鑑別が困難であった.しかし,乳管の一部において腫瘍細胞の結合性が弱い部分がみられ,intracytoplasmic luminaも多数認められた.以上より,LCISを疑い免疫染色を施行したところ,E-cadherinは陰性で,LCISと診断された(Fig.2).なお,本例では生検後行われた乳腺部分切除の検体では,2.5mm大のinvasive lobular carcinomaが認められた.
・LCISとDCISの鑑別は困難な場合があるが,上記のように細胞間の接着性が弱いこと,intracytoplasmic luminaの存在,腫瘍細胞の核が丸く細胞の中心に位置する,核クロマチンが細かく均一に分布する,などの特徴がみられる場合は,LCISをまず疑うことが重要である.(by 市村隆也)


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