卒後研修・部内研修
病理診断科の特徴
病理診断科の主な業務としては,病理組織診断,術中迅速診断,細胞診,病理解剖などがあります.直接患者と接する機会は少ない業務ではあるものの,質の高い医療を提供するためにはなくてはならない医療業務であり,スタッフの病理医が,細胞検査士を含む専門の臨床検査技師とともにこれらの業務にあたっています.とくに国際医療センターは包括的がんセンターを有しており,病理診断業務の重要性はさらに高いといえます.病理診断科では,臨床医とともに腫瘍患者のセカンドオピニオン外来に参加する機会もあり,従来の病院病理部門よりもさらに進んで診療に関与することとなります.また,最近では疾病に関する分子病理学的検査の進歩も著しく,病理診断科はFISH・染色体検査室を備えており,分子病理学的な検索にも対応する体制を整えています.
スタッフには各臓器専門の病理医が揃っており,埼玉医科大学病理学教室の病理医も業務にあたっています.該当する専門領域は,消化管,膵,甲状腺,肺,泌尿・生殖器,皮膚,血液,神経,細胞診と非常に広範な領域にわたっています.本邦において,これほど広範な専門領域の病理医を揃えている施設はきわめてまれといえます.これらの豊富なスタッフ病理医が病理診断における高いレベルの討論を日常的に行って自身の向上に努めています.したがって,各専門領域の臨床医とも質の高いカンファランスを実施しています.
カンファレンス・スケジュール
| 月曜日~金曜日 | 16:00-16:30 | 鏡検会(病理診断カンファレンス)“通称4時の会” |
| 月曜日 | 17:00-18:00 | 婦人科・病理カンファレンス |
| 18:00-19:00 | 造血器腫瘍・病理カンファレンス(月例) | |
| 火曜日 | 18:00-19:00 | 泌尿器・病理カンファレンス(月例) |
| 19:00-20:00 | 脳腫瘍・病理カンファレンス(月例) | |
| 水曜日 | 17:00-18:00 | 皮膚・病理カンファレンス(月例) |
| 18:00-19:00 | 乳腺・病理カンファレンス(隔週) | |
| 木曜日 | 9:00-10:15 | 病理診断科連絡会,抄読会・ミクロスライドカンファレンス |
| 15:30-16:00 | グロスリビューカンファレンス | |
| 16:00-17:00 | 剖検カンファレンス(CPC) | |
| 17:00-18:00 | 消化管・病理カンファレンス(月例) | |
| 17:30-18:30 | 肝胆膵・病理カンファレンス(月例) |
その他,臨床各科とのカンファレンスが随時行われています.
病理診断科では,病理診断の向上および病理学的な病態解明を中心とした研究活動にもそれぞれのスタッフが積極的に取り組んでおり,研修医にも国内外の学会での発表を奨励しています.それらの研究業務や上記の病理診断業務に関して,海外のエキスパートとの積極的な交流も図っており,常に国際的なレベルでの取り組みを目指しています.また,年1回,“彩の国さいたま病理診断セミナー”を主催しており,スタッフが講師を務めるとともに,他施設のエキスパートを講師として招いて,質の高いセミナーを開催しています.
以上のように病理診断科では,豊富なスタッフと充実した体制のもとで診断・研究・教育に非常に高いレベルで取り組んでいます.研修医はこのような環境のもとで研修することで,各病理診断業務に関する実力を確実に身につけることができるとともに,レベルの高い,人間性の優れた医師として育つことができるものと確信しています.また,病理専門医や細胞診専門医を受験する場合にはそのための勉強会を随時開催しています.
病理専門医試験および細胞診専門医試験対策
病理専門医試験および細胞診専門医試験を受験する人のために,試験の3~6か月前より「合格のための特訓コース」が開催されます.講義および実習のみならず,試験に出やすい疾患のガラススライドの自習セットも用意されていますので,短期間で,効率よく試験勉強ができます.また,合格率は100%です.
学生教育
医学部の学生には2年生で病理総論を,3,4年生にはヒトの病気のコースの中で,病理の各論を教えています.4年生では5日間連続でCPC実習を行います.この実習は学生からの評価が最も高く,最終日には学生が司会進行を行う形で,症例の発表を行います.また,5年生ではBSLが行われ,実際の病理業務を見学するのみならず,HEやPapanicolaou染色標本を作製し,術中迅速診断や剖検会などにも参加します.
病理診断セミナー
定期的に外部から講師を招き,病理診断に関するセミナーを開催しています.
最近行われたセミナーの講師は以下のとおりです.
- 卒後教育委員会後援学術集会
(平成21年2月5日,国際医療センター・プレゼンテーションルーム)
Dr. Toru Shoji(Laboratory of Dermatopathology, Port Washington, NY),Dysplastic nevus - 卒後教育委員会後援学術集会
(平成20年12月16日,国際医療センター・プレゼンテーションルーム)
1.Dr. Gregory Y. Lauwers (Department of Pathology Massachusetts General Hospital), Gastritis beyond H. pylori: Extending our Horizons
2.Dr. Mari Mino-Kenudson (Department of Pathology Massachusetts General Hospital), Autoimmune pancreatitis: West versus East - 卒後教育委員会後援学術集会
(平成20年1月30日,国際医療センター・プレゼンテーションルーム)
秋山 太先生(癌研究会癌研究所病理部),乳癌治療における病理診断の重要性
実績(平成20年度)
(1)病理組織診断 14,333件
(埼玉医科大学国際医療センター 7,148件,埼玉科大学病院 5,710件, その他 1,475件)
(2)術中迅速診断 967件
(埼玉医科大学国際医療センター 874件,埼玉科大学病院 88件, その他 5件)
(3)細胞診 16,381件
(埼玉医科大学国際医療センター 5,210件,埼玉科大学病院 10,577件, その他 594件)
(4)病理解剖 71体
(埼玉医科大学国際医療センター 29件,埼玉科大学病院 42件)
実績(平成19年度)
(1)病理組織診断 10,652件
(2)術中迅速診断 805件
(3)細胞診 3,976件
(4)病理解剖 42体
取得可能な資格
(1)死体解剖資格(卒後3年目)
(2)病理専門医(卒後6年目以降)
(3)細胞診専門医(卒後6年目以降)
(4)臨床検査医(卒後6年目以降)
指導責任者と指導スタッフ
スタッフ一覧のページをご覧下さい.
協力病院
埼玉県厚生連熊谷総合病院
医療法人藤和会藤間病院
医療法人慈正会丸山記念総合病院
埼玉県済生会川口総合病院
研修プログラムの特色
病理診断科における卒後3年目以降の後期研修カリキュラムは,病理専門医資格取得の目標を中心とした実践的なプログラムで,オールラウンドな病理診断能力を身に付けることができます.また,clinical medicine である病理診断の実践とacademic scienceである病理学的研究はオーバーラップするところが多く,優れた病理医は優れた研究者ともいえます.したがって比較的早い時期から学会発表・論文執筆にも取り組むことになります.
後期研修プログラムの内容
<ストレートコース>
埼玉医科大学国際医療センターの助教として病理専門医を目指すコースです.大学院とは異なり,職員(医師)として病理専門医を目指したトレーニングを行います.2年目終了後に屍体解剖資格取得,5年目以降に病理専門医,細胞診指導医の各資格取得を目指します.また,日々の診断業務を通して興味を持った課題について研究を行い学位取得することも可能です.
<大学院コース>
埼玉医科大学病理学教室の大学院生として,およそ4年間で学位取得を目指す研究職指向のコースです.しかし,人体病理学の知識なしに病理学的研究を行うことは困難で,ストレートコースと同様,日々の診断業務を行い,その中で興味のあるテーマを見つけ,具体的な研究計画を立案し,学位取得を目指した研究に取り組み原著論文を完成させ学位を取得します.外科病理医としても2年目終了後に屍体解剖資格取得,5年目以降に病理専門医,細胞診指導医の各資格取得が可能です.
病理診断科における主な病理診断業務は組織診断(術中迅速診断を含む)・細胞診・病理解剖であり,必要に応じて分子病理学的な知識も習得することになります.日常の病理診断業務においては,専門病理医がマン・ツー・マンで指導にあたり,各科にわたる種々の疾患を全般的に広く学び,幅広いものの見方・考え方を身につけることができます.病理診断科内で,稀少症例や診断困難症例,重要症例を見せ合う鏡検会,細胞診カンファレンス,剖検グロスレビュー,抄読会などのカンファレンスを実施し,これにより幅広く,かつ深い知識の理解・習得が可能となります.また,臨床各科とは個別にカンファレンスや臨床病理検討会(CPC)を行っています.病理診断業務に際して,病理医には全臨床科にわたる広い知識と判断力が必要とされ,各臨床科との交流はきわめて重要といえます.
上記のプログラムを経験することにより,自ら主体性をもって勉強し,かつ発表の技術なども含めて,総合的な臨床病理学的な知識の習得が可能となります.
学習目標・到達目標
一般目標(GIO)
初期研修において習得した疾患の病理とその関連事項をさらに発展させ,病理専門医となるために必要な知識を取得する.また,的確な病理診断を下し,病理学的な立場から臨床医に助言を行いえる技能を養う.さらに,病理診断の実践を通して,他の医療スタッフとの協調性を身につけ,医療の質的向上ならびに精度管理に貢献する.
行動目標(SBOs)
1.稀有でない症例の手術標本の肉眼病変を的確に指摘でき,かつ適切な切り出しが行える.
2.稀有でない症例の病理組織標本の組織学的病変を的確に指摘でき,診断名を付すことができる.
3.臨床からの問い合わせに的確に返答できる.
4.難解例に対して無理に診断せず,コンサルテーションを受ける.
5.組織標本のquality(切片の厚さ,染色性など)を判断し,技師への再薄切,再切り 出しなどの指示ができる.
6.感染検体の取り扱い,医療廃棄物の取り扱いを説明できる.
7.凍結切片作製,染色ステップを理解する.
8.一定の時間内に迅速病理診断を正しく行い,手術場に報告することができる.
9.特殊症例における病理解剖の手技を説明できる.
10.剖検を研修医,学生および技師に指導できる.
11.院内のCPCを施行し,関係者の教育ができる.
12.各種学会,病理カンファレンスに積極的に参加する.
13.細胞診標本を鏡検(スクリーニングを含む)し,その診断ができる.
14.定型的な細胞診所見に対して推定組織型を述べることができる.
15.電子顕微鏡に関して,組織の固定,包理,超薄切,染色,電子顕微鏡(透過型) の使用法を説明できる.
16.免疫組織化学染色に関して,パラフィン切片を対象とした場合の診断に有用な抗体について説明できる.
17.PCR,in situ hybridizationなどの分子病理学的検査法の病理診断における有効症例について説明できる.
年間スケジュール
卒後3年,4年目には病理解剖20例,外科病理診断1,000件を年間の目標として行う.また,症例報告,原著を各1編ずつ作成することを年間目標とする.
卒後5年,6年目は病理解剖15例,外科病理診断1,500件を年間の目標とする.また,6年目には細胞診断500件を年間目標とする.
資格に関しては卒後3年目に死体解剖資格を取得,卒後6年目に病理専門医,細胞診専門医の資格取得を目標とする.
後期臨床研修修了後の進路について
希望に応じ,卒後5年目から病理診断科助教として研究を行うことができる.また,大学院に関しては,卒後3年目から大学院に入学することが可能であり,病理専門医資格取得後に入学することも可能である.
教育スケジュール
取得できる専門医,認定医資格
コースプログラムで述べましたように,2年目終了後に屍体解剖資格取得,5年目以降に病理専門医,細胞診指導医の各資格取得が可能です.
他科研修の可能性
病理診断を行なうに当たって,臨床の知識は貴重です.希望が有れば積極的に支援します.
学位(希望者)の取得について
日々の病理診断業務の中で興味を持ったテーマについて研究指導が可能です.各分野のスペシャリストが研究支援を行います.
留学について
病理専門医取得ないし学位取得後をめどに留学を勧めています.これまでの留学先として米国マサチューセッツ総合病院(MGH)等があります.
<問い合わせ先>
清水道生
shimizu@saitama-med.ac.jp
※「@」を半角に修正してお送り下さい。
Tel.042-984-0609
